【音声あり】人に行動してもらうには「仕掛け」を用意しよう
突然ですが、今、あなたの目の前にゴミが落ちています。 そして、2mくらい先にゴミ箱があります。 あなたならどうしますか?
考えて見てください。
私は、大きく分けて3つの行動があると思っています。
1つ目は、ゴミを拾ってからゴミ箱に近づいて捨てる人。 2つ目は、ゴミを拾って、その場から投げて捨てる人。 3つ目は、何もしない人。
それでは、ここでさらに課題を出します。
同じ立場に置かれた人の多くが、ゴミを投げて捨てる様に仕向けるにはどうしたら良いでしょうか。
簡単な様で難しい質問だと思います。
今回用意した方法の1つとしては、ゴミ箱の上にバスケットゴールを設置します。
するとどうでしょうか。 ゴミはボールの様に見えて、あたかもバスケットゴールにシュートするみたいに投げてゴミを捨てたくなりませんか?
何もしなかった人も、遊び目的でゴミを投げてすてるかもしれません。
こういった人が何かをしたくなる事を「仕掛け」と言います。
今回は、この仕掛けについて話していきたいと思います。
こういった仕掛けは、私たちが気づいていないだけで世の中にたくさんあります。
ではそんな普段私たが気づいていない「仕掛け」を学ぶにはどうすればよいか。
そんなときに打って付けの本があります。
それが、「仕掛学」という本です。
文字通り仕掛けに関する本で、非常に面白いですし、勉強になります。
先ほどのゴミ箱とバスケットゴールのお話は、この本から引用させていただきました。
他にもたくさんの事例が写真と一緒に解説されていて、とても理解しやすいです。
この仕掛け、世の中にたくさんあると言いましたが、何でもかんでもが仕掛けというわけではありません。
仕掛けにはしっかりと定義があります。
定義は3つあります。
・公平性 誰も不利益を被らないこと。 その仕掛けによって、不利益が生じるものは仕掛けではありません。 人を騙すような仕掛けは、悪い仕掛けとして表現され、仕掛けの定義から反します。
・誘引性 行動が誘われる事が定義としてあります。 誘われるということは、その誘いを断っても良いということで、強制させるものは仕掛けとは呼びません。 先ほどのゴミ箱とバスケットゴールの例ですと、ゴミを投げて捨てたくなりますが、別に投げて捨てなくてもよいです。 あくまで、選択肢の1つとして用意しておくイメージです。
・目的の2重性 仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が違うことです。 先ほどのゴミ箱とバスケットゴールの例ですと、仕掛ける側はゴミをポイ捨てせずにゴミ箱に捨てて欲しいと思っています。 ですが、仕掛けられた側はゴミを捨てる意識よりも遊び感覚で、ボール(ごみ)をゴールに決める事が目的になっています。 決して、仕掛ける側はバスケットゴールで遊んで欲しくて設置しているわけではない事がポイントです。
この、「公平性」「誘引性」「目的の2重性」を満たすものが仕掛けとして機能しております。
また、この本を読んでいて私が1番感動した事例がありまして、それが人目のつかない場所のポイ捨てを抑制する仕掛けです。
人間、人目が付かない場所では少しくらい悪い事をしてもバレないのではないかという気持ちが働きます。
あなたが悪さをしたことがあるかは分かりませんが、人通りが少ないところでポイ捨てされているのを見たことがあると思います。
このポイ捨てを抑制するためにある仕掛けを用意しました。
それは、「小さな鳥居を置いておく」という仕掛けです。
鳥居ですよ鳥居。神社にある鳥居です。
この鳥居をポイ捨てがされていた場所に立てかけておくと、ポイ捨てが減ったそうです。
「ポイ捨て」と「鳥居」
どういう仕掛けかと言いますと、人は鳥居があるという事はここは神聖な場所だと認識します。
そう認識した人は、神様がいるかもしれない場所でポイ捨てをしようという気持ちには簡単にはなりません。
これは素晴らしい仕掛けだなと本を読んで感動しました。
もしかすると、地域のポイ捨てを無くそうとPTAとか自治会が打ち合わせをしたり、張り紙やチラシを作成したりしているかもしれません。
ですが、そんなコストをかけなくても、100均とかで買ってきた木材とかを使って小さな鳥居を作って置いておくことで、ポイ捨てを抑制できるのであれば、こっちの方が効率的ではありませんか?
こうして考えてみると仕掛けは本当にすごいものだなと感じ、私も何が仕掛けを考えてみたいとさえ思いました。
この「仕掛学」の本には、先ほど紹介した仕掛けの定義を参考に自分で考えることもできますし、仕掛けの考え方が書かれているセクションもあります。
興味を持った方はぜひ読んでみてください。