Life Trigger | ライフトリガー

あなたに「きっかけ」をお届けします。

R.P.G. 宮部みゆき【音声紹介あり】

タイトルだけを見るとゲーム関連の本かなと思ってしまうこの本。

RPGとはロールプレイングゲームの略称なのですが、この本にはゲームっぽい話は一切出てきません。

ですが、ロールプレイングという名にふさわしい内容になっています。

音声での紹介は記事の一番下に再生プレイヤーがあるので、是非聞いていってください。

R.P.G. (集英社文庫)

R.P.G. (集英社文庫)

この本のテーマは「擬似家族」です。

「ロールプレイング」と「擬似家族」2つの単語を聞いて、内容を察する事ができる人もいるのではないでしょうか。

そうです、この本では家族をロールプレイするのです。

1人の男がネットの中で「お父さん」という役割で擬似家族を作っていきます。

初めは「娘」次に「弟」最後に「お母さん」が加わり、立派な家族が作られました。

そんな中「お父さん」は結婚しており、本物の家族がいます。

本物の家族には一人娘がいて、名前は一美(カズミ)

そしてネットで作られた擬似家族の娘の名前も「カズミ」

何か色々と勘繰ってしまいそうな関係性ですが、そんな本物の家族と偽物の家族を持った「お父さん」は何者かに殺されてしまいます

一体、犯人は誰なのでしょうか。

本物の家族の誰かが、偽物の家族に気がついて殺してしまったのか。

擬似家族が本物の家族から「お父さん」を独り占めしようと殺してしまったのか。

はたまた、別の誰かが「お父さん」と2つの家族の関係性を妬んで殺してしまったのか。

いろんな憶測が飛び交う中、警察が2つの家族に取り調べを行い、様々な情報や証言から犯人をあぶり出す、といった内容になります。


この本との出会いは、いわた書店さんの「いわたま選書」というサービスで選書してもらった本の1冊でした。

いわたま選書についてはこちらの記事をご覧ください。

最初の印象はもちろんゲームかな?と思ったり、本の裏のあらすじを見て、家族をロールプレイングする話かと単純に思いました。

ですが、ロールプレイングは擬似家族だけにとどまりまらないと感じました。

本当のロールプレイングをしている人はこの本を読んだ人自身ではないでしょうか。

読者が本を読み進め、事件の発端を知り、様々な登場人物と出会い、いろんな事件や現場を見て、犯人が捕まる事件解決の瞬間に立ち会う。

ゲームで言うところの、始まりの村で村長に仕事依頼され、いろんなキャラクターと出会い、事件に巻き込まれ、最終的に魔王を倒す、そんなイメージでしょうか。


この本の紹介は、stand.fmでも音声として本を紹介しているので、是非聞いていってください。